氷の女王に誓約を


最初のジャンプが全てを決める。慎重に、だが大胆に。


右足を振り上げると、タクの身体が宙に浮く。


高い。それに……。


一瞬本当に降りたのかどうか疑いかくなるほどの静かな着氷。


自国選手の完璧なアクセルに、会場からは拍手喝采が鳴り響く。


もしタクという選手を知らない人に「あいつはアクセルジャンプが一番苦手なんです」と言ったら、俺は嘘吐き呼ばわりされるだろう。


あれだけの高さと幅が出ているのに苦手なわけがない、と。


昨シーズンとは比べ物にならないジャンプ。


高さはもちろんだが、驚くのはその飛距離。


ジャンプの幅が尋常じゃないほど伸びている。


綺麗な幅跳びジャンプ。幅跳びジャンプの利点は、助走のスピードを維持することができ、着氷後のランディングが流れやすいことだ。


高さ、幅、ランディングの流れ。これらは全て加点要素。