氷の女王に誓約を


その人がカメラを構えているということは―――


男は踵を返して猛ダッシュ。


気づくと無意識のうちに私も足を踏み出していた。


「ま、待って!」


急いで後を追いかける。


しまった。よりにもよってあの人に激写された。


人様の恋愛事情に異常なまでの執着を見せていた男だ。きっとありもしない出来事をでっち上げて記事にするつもりだ。


私が色々言われるのはいい。マスコミ対策も周りの人たちがちゃんとしてくれているし、根も葉もない噂でスケートと関係ない話だから全然気にしない。


だけど朝ちゃんは違う。


まだ朝ちゃんは、周囲から“注目される”ということに慣れていない。


スケートで注目されるのならまだしも、全く関係のない話題で注目の的になるのは気持ちが良いものではない。