「おいで?」
ゆっくり腕を広げると、
葵は素直に俺の胸にうずまった。
久しぶりの、
葵の匂い。
深く吸い込む。
葵の涙を拭いながら、
しばらく頭を撫でた。
「俺...お前に会えなくて、
寂しかったんだよ?」
「うん...」
素直な葵。
「けど...不安にさせてごめんな。」
優しく抱き締めると、
葵は無言で
俺に抱きついた。
葵の身体は相変わらず
冷たかったけれど。
心は温まった。
そう感じた。
「今夜...久しぶりに
俺の家に来ないか」
「...え?」
俺の胸の中でまどろんでいた葵が、
とぼけた声を出した。

