----------*.圭吾.*----------
最近準備室によく来る女子がいる。
橘花音。
よく差し入れと言って
手作りのお菓子などを持ってくる。
俺に好意を抱いているのは見え見えだ。
今日もクッキーを持ってきた。
どうしたもんかな、とため息をついた。
その晩、いつものように葵に電話すると、
何やら元気が無い様子だった。
「何かあったのか?」
葵は寂しがりやだから、
急に寂しくでもなったのだろうか。
「......先生、今日私見ちゃったの」
思い詰めたように話す葵。
見ちゃった?
何を?
「ごめん...何のこと?」
「...先生が、花音に差し入れ貰ってるとこ」
......あぁ。
あれを見られたのか。
確かに不安にはなるよな。
「そうか...。でも、大丈夫だからな?」
努めて優しく話す。
葵の不安を取り除いてあげる...
つもりだった。

