いつの間にか話題は、

クラスのみんなの恋愛事情になっていた。

「知ってる?松下くんと高田さん、
 毎日ヤリまくってるらしいよ。」

「あ~それ知ってる!
 ほぼ同棲状態らしいね!」

「マジかよ!?高田とか大人しそうな顔して
 やることやってんな。」

下ネタトークに花が咲く。

この手の話が苦手な私は、

ちょこっとうんざりして、

レモンサワーの氷をカラカラ回しながら

窓から空を眺めてた。

変な形の雲を見つけ、自然と頬が緩む。

写真撮りたいなぁ。

そういえば先生も写真好きって

言ってたなぁ。

......最近先生のことばかり考えてる。

どうしちゃったんだろう。

『恋』

そんな一文字が頭に浮かぶ。

違う。

そんな単純なものじゃない気がする。

晴香みたいに純粋に、

頬を染めたりなんてきっとできない。

「葵?」

突然目の前に現れた黒縁メガネ。

驚いて目を大きく見開く。

「春樹かぁ...」

「ごめんごめん、びっくりした?」

はは、と笑う春樹。

どう見てもあの竜也と

同い年とは思えない。

「ううん。春樹は話に入らなくていいの?」

「まぁね。
 あんまり下ネタとか好きじゃないからな。
 葵もそうでしょ?」

「うん。」

顔を見合わせて苦笑う。

春樹にはバイト先で知り合った

5歳年上の彼女がいる。

春樹と付き合ってる彼女は、

きっと大切にされて幸せなんだろうな、

そう思った。