ジュンは3歳くらいの頃はただ単にかわいらしいお馬鹿な性格だった。


タヌキに餌付けをして自室につれこみノミの大発生をさせたり


牛ガエルに紐をつけて散歩させたり


ゴキブリをこっそり繁殖させていつのまにか逃げられたり



家中がおそろしいカサコソうごめく黒いものの気配で包まれたとき親が切れた。



「お前はまだおねしょするくせにゴキブリの交尾など観察するな!俺の兄貴の家で鍛えてこい!」



父の兄は柔道家で道場を開いていた。


幼稚園は5歳から入ることになっていたのでそれまでの一年と半年、泊まりがけでおじの家に世話になることになった。


柔道を習うことで真っ直ぐな心と風邪をひかない強いからだを手に入れた。


けれども。


おじの娘、幼稚園の年長さんのカオリは自分の家に住むことになって自分には教えてくれない柔道を(おじは女の子は可愛く育てばそれでいい主義者だった)手取り足取り教えてもらっているジュンが憎かった。


それゆえ。


夜な夜な幼稚園児の脳みそを力いっぱい使って趣向を凝らしたおばけ絵本でジュンに復讐したのである。


よって。


ジュンは真っ直ぐな心と風邪をひかない強いからだ、おばけ絵本へのトラウマを抱えて自宅に戻ったのだ。



ジュンが大きくなるにつれ俺様的な性格になってもおばけ絵本はコワいものナンバーワンの座を譲ることはなかった。




おばけ絵本といえばせなけいこ作品。


カオリの読む本ももちろんそうで、ねないこだれだは登場回数も一番多かった。