「春子、起きろ」 「……んーあと5分」 「アホ、起きろ」 まだぼんやりする全身が、またしても蹴飛ばされる。 「い、痛ーっ」 なんでこう、もっと優しく起こしてくれないのか。 「早く用意しろ」 「はいはい、わかりましたよ」 階段を降りて、一通りの用意を済ます。 「春子はもっと静かに起きれないのか」 新聞から顔をのぞかせたお父さんが、呆れたように笑いながらそう言った。 さ、最悪。