だが、選手の前にすぐに相手選手が3人立ちふさがった。 「うわっ、1対3なんて卑怯!」 思わずそう声をもらすと、 「シッ!」と北見先輩が唇に手を当てた。 ケータイは今日もマナーモードだ。 電車内はほどほどに混んでいる。 顔を上げると知らないおじさんと目が合い、私は恥ずかしくなってうつむいた。 唇をぎゅっと結んでまた画面に目を落とすと、すごいプレーが繰り広げられていた。 さっきの選手が、右に左にすばやく動き、目の前の3人の選手を翻弄してあっという間に抜き去った。