「孝太郎、おまえさ、あの子のこと……」 「あー、もう話は終わりだろ? 俺、課題があるから、もう出てってくれないか?」 俺は立ち上がって兄貴を部屋から追い出しにかかった。 「えっ、あっ、おい!」 わめく兄貴を廊下に放り出して、俺はドアを閉めた。 フン、人のことはいいから自分の心配だけしとけって。 この間の一件であいつのことはあきらめただろうけど、 あの人がそれで終わるとは思えない。 これからもまた、いくらでも同じようなのを見つけてくるだろう。 ――兄貴、負けんなよ……