「今日、園村さんが海外赴任することになったって、ご挨拶にいらしたの」 祖母の声は怒りで震えている。 その一言だけで、何があったかは容易に想像がついた。 ――とうとうバレたか…… 「修太郎、あなた、美玖さんとお付き合いしてたんじゃなかったの?」 「それは……」 兄貴は目を泳がせ、言いよどんだ。 「私はね、あなたに、北見家の長男であるあなたに、と思って美玖さんを紹介したんですよ。 それを……」 祖母は悔しそうに唇を噛んだ。 兄貴は何も言えずにたたずみ、俺も黙って立っていた――