気づいたら、僕は宙を舞っていた。 落ちていく自分が、やけに無力に思えて。 ただ握りしめた帽子が、ちゃんと僕の手の中にあることを確認できただけで。 それだけで、満足だった。 ふわふわと宙を舞うなかで、僕は恐怖を感じなかった。 僕の持っているものは、全部与えられたもの。 僕自身のものなんて、ひとつもない。 僕の代わりだって、たくさんいる。 みんなが必要なものは、僕じゃなくて「当主」。 もう、「当主」でいることに疲れたよ。