私を見た父様は、何も顔に表さなかった。 帰ってきてくれてありがとうと、私を迎えてくれるわけでもなければ。 何故あんな馬鹿なことをしたと、私を叱るわけでもなかった。 ただ、私を見て一言。 「出かける準備をしなさい。」 そう言って私の前を通りすぎていった。 申し訳なさと自分に対する悔しさでいっぱいだった私。 父様の一言で、目が覚めた。 この家は、変わることはない。 いつまでも、家族を中心に回ることはない。