「春菜ちゃん、来て来て!」

呼ばれた方へ行くと
なぜか、真剣な様子の
輝樹のお父さんと、お母さん・・・

なに、この只ならぬ雰囲気は・・

ゆっくり ソファーに腰掛けると

「春菜ちゃん。
まだ、卒業してからの事
決めてないのよね?」

「は、はい・・・」

「お願いがあるの。
ね、お父さん?」

「春菜ちゃん、卒業したら
うちで働かないかい?」

「え・・・?うちって・・?」

「うちの歯医者で働かないかい?」

「すごくうれしいんですけど・・・
資格も何もないんです・・」


「うん?だから、
うちで、雑用をしてもらいながら
医療事務の資格を取ろう!」

取ろう!って・・・・

「私にできるんでしょうか・・」

率直な意見だ・・・
私は そんな頭も良くないし・・・

「できる!別に資格とれなくても
雑用が いっぱいあるから
大丈夫だよ」

そう言ってもらえると
すごく心強い・・・

っていうか、すごくうれしい・・・

「私でいいんですか?」

「前々から 
春菜ちゃんが卒業したら うちで働いてくれないだろうかって輝樹に言ってたんだが・・・
あいつにも 何かしたい事があるかもしれないから 見守っててやってくれって口止めされてたんだ。
輝樹がいる時に こんな話すると
二度と この家に寄り付かなくなる可能性があるから
ちょうど、仕事でいないって正樹から聞いて・・・
今日しかないって事で、すぐ電話して・・
もし、春菜ちゃんさえ良ければ
うちで働いてほしい・・・」