「今から来るわね~」

という電話から5分後、
一台の車がアパートの前に停まった。

これ・・・かな・・

輝樹の車しか知らない私は
恐る恐る 運転席に乗ってる人を覗き込む。

・・・輝樹?

「何、変な顔してんの?
春菜ちゃん、ほら乗って」

じゃなくて、正樹くんだ。

久しぶりに見ると
双子だという事を忘れてしまってるから 厄介だ・・・

後部座席に乗り込むと

「うわ、俺傷ついた・・」

「へ!?な、なに??」

「俺の隣には乗りたくないって事でしょ・・・」

「そんな事あるわけないじゃん」

「うん、知ってる。
早く 前に乗って?」

輝樹の周りの人って
どうして こんなに
助手席に乗る、乗らないにこだわるんだろうと
やっぱり 不思議でたまらない。

助手席に乗りなおし
ようやく車が走り始めた。

「輝樹、仕事だって?」

「あ、うん。そうみたい」

「あいつが雑誌に載ると
俺が面倒臭いんだよねー」

「正樹くんが・・?」

「俺だと勘違いする奴がいてさ」

「なるほど・・・・
たしかにそうかも。
正樹くんは モデルとかしないの?」

「んー?俺は 面倒臭いのキライだから」

「どっかで聞いたような・・・
あっ、輝樹と似てるんだ!」

「あはは、そりゃ
双子だから 少しは似てないと
やばいっしょーははは」