ピンポーン
約束の10時にやっても出て来ない愛の家のチャイムを押す。
なんとなく鍵はお互い持たされているけれどいつもは愛のお母さんが開けてくれる扉はその気配がなく静かなままだ。
リュックから黄色のハートのキーホルダーがついた鍵を取り出す。
慣れた手つきで鍵をあけると美羽は愛の部屋に一直線に向かう。
「まだ寝てる!」
ベッドに潜り込んで愛のわき腹をくすぐった。
「ふぇっ?あははは!!美羽ちゃんおはよー」
「今日薫ママは?」
「そーだなんか友達と遊びに行くって言ってたんだなー」
「目覚ましくらい自分でセットしなよっっ」
「てへへ」
「んもー」
もそもそ起きて着替えを始めた愛のために美羽はトーストと目玉焼き、ミルクを用意してやる。
「イチゴジャム?」
顔を洗う愛に聞く。
「んー最近はねーピーナッツバターの気分なんだー」
テレビをつけてのんびり食事を始めようとする愛に軽くチョップをくらわし、テレビを消す美羽。
「さっさと食べなよ!バカ愛!」
「は~い」
きびきびした美羽とのんびりした愛。二人はいつもこんな感じで愛はにこにことトーストをかじる。


