放課後近所のスーパーに廃棄する葉物野菜をもらいに行き、うさぎ小屋に持って行くのが一番はじめにする事だ。

「ねぇヤマト君ピョン吉が動いてない気がする」


餌箱の昨日の残りの餌をかたずけていたヤマトもそれに気づいた。

「寝てるのかな?」
「新しいごはんだよっ」

キャベツの芯を手にしたヤマトがピョン吉に手を伸ばす。


「固い…死んでる…」
「うそっっ…」


二人はしばし立ちすくんだ。


「…俺先生に言ってくるよ」
「うん…」


走り出したヤマトの背中が見えなくなるまで見送ると愛はかかんでピョン吉に話しかけた。

「ピョン吉ぃ昨日まで元気だったじゃん…」


愛は動物が大好きで飼育委員になったのだ。
当番に関わらずちょくちょくうさぎ小屋に遊びに来ていた。

「ピョン吉ぃ寝てるんでしょ?」


少し涙がでるともうとまらなかった。


うさぎ小屋をでて、体育館の陰に座り込むと愛は涙が枯れるまで泣いた。


気がつくと隣にヤマトが座っていた。


「あのさ、先生がきちんとしてくれるって」


雪が降り出していた。
ヤマトは愛が寒くないように自分のダウンジャケットを背中にかけてあげていた。


「兄弟とかみんなが眠ってるところに埋めるから安心してって」

「うん」

顔をあげるとヤマトの目も真っ赤だった。