8時50分。


駅に着いた聡は、切符を買った。


ホームに行くと、竜太と和樹がいた。


「おす、竜太、和樹」


聡が笑顔で挨拶する。


「おう……」


テンションの低い竜太。


「どうしたんだよ、明日が本番だぞ。シケた面してんじゃねぇよ、お前らしくない」


そう言って竜太の背中をポンと叩く聡。


「だってよ……慎一、まだ来ねぇぞ……」


和樹も暗い声で言う。


「大丈夫だよ。信じてくれ」


そう言い切る聡も、実際には不安だった。


来てくれるよな、慎一……


そのとき、アナウンスが入った。


『一番線に、電車が到着します。白線の内側までお下がりください。』


九時だ。


「おい……来ねぇぞ、聡!」


苛立ち、聡に言う竜太。


「どうすんだよ、おい!」


竜太に続く和樹。


電車はホームに到着した。絶望する聡。


「発車しますが……」


駅員から声がかかる。


「……行ってください」


涙目になりながら、聡は言う。その言葉に驚く二人。


『ドアが閉まります、ご注意下さい』


電車が、次の駅へと発車してしまった。


「おい……おい!」


どうしていいかわからず、とりあえず聡に当たる竜太。聡の胸ぐらをつかむ。