聡が目を覚ますと、すでに竜太は起きていた。


「おう、おはよう聡。お前、なんかうなされてたけど……大丈夫かよ?」


「おはよう。え?うなされてた?別になんでもねぇけど」


「それならいいけどよ」


と、洗面所に向かう竜太。水で寝癖を取り、ドライヤーをかける。


聡はベッドの上で携帯電話を開いた。新着メール一件。


『おはよう、聡。いよいよ、今日だね。頑張ってね!』


『うん、ありがとう。』


そう返すと、暗い表情を隠しきれない聡。


今日で、綾とのメールが終わってしまう……そのことを考えると、とても明るい顔などできなかった。


すると、携帯電話が鳴る。


『……聡?どうしたの、元気ないじゃん。』


今も見ているのか、綾からメールがきた。


『だって……綾とのメール、今日が最後なんだよ……』


『聡!まだそんなこと言ってるの?ダメだよ、大会に集中しなきゃ!』


『わかってるんだけど……』


『私のために、優勝してくれるんじゃないの?そんな状態で、優勝なんかできると思ってるの?』


『え……』


『私は、聡を応援しにきたんだよ。どうして過去ばっかり引きずるの。前を見て。私は、もういない。聡の未来は、大会に優勝することでしょ!また私のことで、失敗する気?』