幾が消えた。 わたしの目の前から。 突然消えた。 お別れもまだしてないのに。 幾はわたしをひとりにして遠くに行ってしまった。 幾、左手が凍えるんだ。 幾がいつも繋いでいてくれた左手が……。 あの温もりはもうなくて。 幾、苦しいよ。 「幾!!」 空に向かって名前を呼んだ。