長くて2週間、 それ以上は飼主の側には居ようとはせず、 決って毎回、其処から離れた。 どれだけ其処が心地好くても、 どれだけ飼主に愛されても、 猫は「さよなら」とだけ言い残し、 その場を去った。 その度に猫は泣いた。 人肌から離れるのが寂しくて、悲しくて。 けれども其処から離れなくてはいけなくて、 自分を殺した。 愛に飢えた猫には、 それが耐えられない程辛くて、 何度も自分の身体を爪で引っ掻き、 傷付けた。