Kiss★恐怖症

でも。


「…約束破っちゃったな…」


「ん?星蘭さん今何か言った?」


「ううん、何も」


守れなかったのは悪いけど。


悪いのは私だし。


黙っておいて、黙っておいてもらえれば―…。


それに。


何もされなければ問題はないよね?


よし。


楽しもう。


今日は楽しんで、それでおしまい。


何もない。


何もさせない。


「じゃあねーっ!まずはコーヒーカ「星蘭さん、ジェットコースター行こうぜー」


「コーヒーカッ「えー絶叫系苦手なのにー!」


「まずはコーヒ「大丈夫大丈夫ー!な、兄ちゃ……ん?」


春樹くんの顔色が変わったから、視線の先を見てみると。


「…誰も話を聞かないとは…」


怒りに満ちたお兄さんがいて。

「兄ちゃん待って―…」


「春ちゃんのバカ!!!」


春樹くんのお腹にぐーを一発入れるお兄さん。


お腹を押さえしゃがみ込む。


「いって―…っ」


「あのね!年上の僕の話を聞かないとかね、だめなんだから!星蘭ちゃんもだよ!!」


「は、はい―…」


と、怒ったお兄さんもなんだか可愛くて。


ちょっと笑いそうになってしまった。


このとき。


楽しい時になりそうな予感の隅に。


変なざわめきがあったことに、私は気付くことはなかった。