【なつめ】
HRが終わり、顧問に呼び出されたため、
私は職員室に行った。
「わざわざごめんね、猿飛さん」
剣道部顧問である、クールビューティーこと、濃(のう)先生が言った。
「いえ、今日はどうしたんですか?」
「そうそう、今年度から顧問が代わったのよ!!」
「………え?」
一瞬、先生が言った意味を理解できなかった。
「なんか、私なんかより強くて、段持ちですって。」
「そうなんですか?……それで一体、どなたなんです?…」
濃先生……
あなたより強い人なんて、どうすれば見つかるんでしょうか……
…もし存在したら、世界が危ないです…
……という質問は、
自分の身のために口に出さず、
緊張して次の言葉を待つ。
「実はね……」
本日二回目、先生の言ったことが理解できなかった…いや、
…………理解したくなかった。
「うそでしょ―――!!??」
猿飛なつめ、一生の不覚……
…職員室で絶叫してしまいました…。
まぶしい笑顔でさらりと悪魔の宣告をして、
ということで、よろしくね!!
…と、言う濃先生に逆らえず、
私は部活に向かう。
「神社でおはらいでもして貰おうか…」
本気でそう思っていたけど、
その反面、
あの人類最強の濃先生より強い人と戦える…
…そう思えば、最高だ。
いつの間にか
足取りが軽くなっていることには、
気付かなかったけど…