あれから私たちは、帰る準備をした。





そして現在、家の前。





「何か懐かしいな…」




そう言ったお兄ちゃんは、どこか切なさそうで…けれど、幸せそうだった。





「お兄ちゃん!入ろっ!」




私は声を絞ってお兄ちゃんに言った。





―ガチャッ




「ただいま。」




そう言ったお兄ちゃんに、私は、





「お帰り!」





と、言った。





“ただいま”という言葉を、初めて愛しいと思った。