風よりも早い足、ウサギのようにちょこまかと動き回る体。 メラの特技でした、相手を翻弄して走るのは。 体力の限界を知らず――いえ、体力の限界を超えた体は羽のように軽く思えました。 殺される願いが叶うからといってメラは足を休めません。休めたところできっと後ろからくるおおいぬは牙を向けてこないから。 清き獣同士の戦いは一日中続きました。 ですがまだ両者とも足を緩めず、逆にただ突っ立っている狩人たちが疲れ初めてきました。