ガタンと、玄関前に短剣を置いた音で妻が外に出ます。 そこにあったのは夫の短剣だけ。 不思議に思った妻でしたが、短剣があるのに夫がいない事実に――やがて、膝を折り、じっと動かなくなりました。 その様子を物陰から見ていたメラはたまらず妻に近づきたくなりましたが。 ――主を殺したのは自分だ。 そんな者がどうして亡き人に喘ぐ人のもとに行けるでしょうか。