出て行くと同時に出くわす、父の姿。
最悪だ。そう思い何も言わずにその場から離れようとした。
――――――が、父が言う。

「挨拶もなしか、馬鹿娘が」
すれ違うと同時にかけられる、その言葉。
反応してはいけない。
「・・・どういうこと?」
こんな奴、放っておけばいいんだ。

振り返ると、酷く酒の臭いがした。
頬が赤く、足取りも定まらず、ふらついている。

「今言った通りだよ、馬鹿娘」
呂律も回らない口調で。
相手になんかしちゃ駄目だ。

それなのに立ち止まった足は、前に進むことが出来ない。

「馬鹿はどっちだよ、自分はどうなの?」
駄目だ。駄目。
「知ってるから、お父さんが真希さんと一緒に居たこと」
図星なのか、目が泳ぎ始める。

弱点を知ったら、そこをずっと責めればいい。
何かを言わせる暇なんて――――。

「・・・それより優哉を殺したのは、お前だろ?」

けれど真実に、触れられた―――――。