「完全犯罪、しよっか」
何気ない顔で言い切る。
「出来る訳ないだろそんなの」
笑ってそう言うが、満月の表情は変わらない。
いつだってそう。
拓の考える事よりいくつも先を見ている。
見ているはず。
そんなつもりじゃないけど。
安心できる保険、みたいなものがないと。

不安で仕方ない。

まさか、そう思った拓が問う。

「・・・まさか本気じゃないよね?」
言ってから、満月の頭には一つの考えしかない事が分かる。
答えなんて、その口から聞きたくないのに。
見れば分かる。決断をした目。
酷く後悔をし始めて、これが自分のした事だ、と。

「拓には悪いけど、本気だよ」
もう戻れない、戻る事はない。
そう感じた。強く。残酷なほどに。

周りには、母親と遊ぶ子供の姿。
同い年くらいの学生も居る。
自分たちも少し遠くから俯瞰して見れば、普通の子供。

だけど違う。何もかもが。