この時、もう少し俺が大人になって君を守る事だけすれば。
少しは二人の未来は明るかった?

光のない世界に君を閉じ込めてしまったのは、俺だから。
同じ罪を君だけ背負うことはなかったんだ。
全部の思いを君に預けて、俺は光のある世界に生きた。
生きることを誓った。
それしか、出来ることはなかった。

気がついたときには、泣いている君と、『物』になった君の兄。

戻れないことをしてしまった。
決して許されることはない。
まさか、俺がそんなことをするなんて君は思わなかっただろう。
けれど君は手を握った。
「ごめんね、ありがとう…」
と笑って無理やりな笑顔を作った。
自分のしたことの重要さに気づいたのはもっと先のことだった。

どうしてか君は淡々とこれからのことについて話した。
その間も、君は手を強く握りながら。
それをただ頷いて聞くことしか出来なかったんだ。
言われたことを、頭の中にしまうことに必死だった。
だけど頭の中はそんなこと聞いちゃいなかった。
早く逃げ出したい、この場所から。
自分のやってしまったことを夢だと思いたくて。

なぜ、自分はこんなことをしてしまったのか。
どうして黙っていることが出来なかったのか。

今更言ったって、何にもならないかもしれないけど。