「満月、聞いてんの」
「え?」と言えば、目の前にはシーが居た。
「もう本当満月って人の話聞かないよね」
「ごめん」
「許すけどー・・・」
この時期になると思い出すこと。
お父さんのこと、お兄ちゃんのこと。
大人になった私。真希の近くで生きる拓。

「っていうかあたしさぁ、メイク変じゃないかなぁ」
「変じゃないよ?ていうか誰来るの?」
「秘密~」
12月17日。放課後での久々のシーと遊べる日。
仕事もないから今日はゆっくり話しが出来ると思ったのに。
学校近くのサイゼリヤで誰かと待ち合わせするって言って、シーに連れてこられたんだけど・・・

そういえばここ、小雪さんの家の近くだなぁと思いながら外を見ていると「来た!」とシーが声を上げた。
「えぇ?」と言いながら、入り口近くに目を向ける。

「え・・・」
何人かの中に居た一人。
「他校の男子!格好良くない?」
そんなシーの声を他所に。

そこには、紛れもない、あの人の姿があった。