夜中散歩

その日、結局渡月さんは私に5万ほどはつぎ込んだ。
服を選んでは体に当てて、レジへと持っていく。
客なんてそんなものであればいい。
それがたとえ、拓の父親だとしても。

お金を出してくれるんだったら誰も彼も一緒なんだから。

店が開店してすぐ。
渡月さんと店に入るや否や、店内の様子に驚いた。
「何これ、満卓じゃん」
私が今思った言葉を口にする渡月さん。
見渡せば、まだ開いてすぐだっていうのにほぼ全ての席にお客さんが座っていた。
由梨も小雪さんも、他の女の子たちも慌しくも笑顔で接客している。
その様子に驚きながら歩みを進めると「こちらです」と、ボーイが渡月さんを席へと誘導する。
「じゃあ、少し待っててくださいね」と、私は手を振って待機室へと向かった。