夜中散歩

駅の中にあるマックでのお客さんとの待ち合わせの前に再びロッカールームへと戻って荷物を入れる。
毎日こんだけ利用してると、ロッカールーム代だけでも馬鹿にならない。
なるべく荷物を少なくと思ってもどうしてもかさばってしまうのが本音なんだけど。
同伴は午後6時から1時間ちょっと。
1時間ちょっとの私との時間で、何を得るんだっていうんだろう。
それこそ、ご飯を食べたりなんか物を買ってくれたり、むしろ普通に店に来るよりお金がかかるのに。

マックに入ってすぐに、「真希ちゃん」と声をかけられる。
椅子に座りながら飲み物を飲んでいた、その相手。
お辞儀をすれば優しく笑う。
今日の同伴相手、それは・・・

「こんばんは、渡月さん」
「こんばんは」
スーツを着たいい年のおじさんがマックに居る光景は少し異様ともいえるけど。
待ち合わせ場所にマックを指定したのは渡月さんだった。
ポテトでも食べたんだろうか。襟元と口元に塩がついている。
「あれ?渡月さん、ポテト食べました?」
指摘をすれば、当たりと言わんばかりの渡月さんの表情。
「なんで分かったの?」
そう聞かれれば、口元を指さした。
「塩、ついてますもん」
指摘されて自分の口を拭く渡月さん。その手に塩がついていたのか、「あちゃー」と言いながらハンカチで口を拭った。