ツンデレ美女の恋愛事情~新・素敵すぎる上司~

「うん、笑わないよ?」

「じゃあ言うよ。俺は臆病なんだ」

「臆病? 嘘でしょ?」

慎司さんは、私にはとても頼もしい男性に見える。臆病だなんて到底思えない。

「いや、本当なんだよ。血とか見ると、怖くて気絶しそうになる」

「私も血を見るのは苦手よ?」

「いや、女性は案外強いものらしいよ。俺は本当に弱いんだ。検診で採血された血をうっかり見て、失神しかけて看護士さんを驚かせた事もあるんだ」

「それは確かに重症かも…」

「小学校の頃は注射が怖くて泣きながら逃げ回ってた。実は今でも注射が怖いんだよ」

「ぷっ」

「あ、笑ったな?」

「ごめんなさい、つい…」

「呆れたろ? やっぱり言うんじゃなかったなあ」

「呆れたんじゃないの。可愛いなと思って…」

「それ、三十路の男には誉め言葉にならないから」

「はーい」

でも、今の話で慎司さんが少し身近に感じたのよね。