ツンデレ美女の恋愛事情~新・素敵すぎる上司~

「私は自動車に乗るのは好きなので、構わないですよ」

「そう? 運転もするのかい?」

「いいえ、免許は持っていません」

「そうか、それは残念だったな」

「何がですか?」

「ん? 君がどんな運転をするか見てみたかったよ」

「どんな運転だと思いますか?」

「そうだなあ。男勝りで飛ばし屋、って感じかな」

「飛ばさないですよ、たぶん…」

何か、今ので阿部さんが私にどんなイメージを持っているのか、分かっちゃった気がする。

男勝りで勝ち気で乱暴な女、って感じ?
あながち外れてないのが余計に悔しいわ…


「じゃあ、出発しようか?」

「はい」

阿部さんは助手席のドアを開けてくれた。

「すみません…」

「どういたしまして」

男の人にドアを開けてもらって車に乗り込んだのは初めてで、何だか照れ臭かった。


「シートベルトは締めたね?」

「はい」

「じゃ、出発!」

車は静かに走り出し、私のお腹がキューっとなった。
それが車の加速のせいなのか、緊張のせいなのかは分からなかった。