その翌日のお昼。
阿部さんと私は営業先の会社近くのラーメン屋さんで、カウンター席に並んで座っていた。

阿部さんは味噌ラーメン。私はタンメンをすすっている。お野菜がいっぱい乗っていてすごいボリューム。美味しいんだけど、食べきれるかしら?

「佐久間さんってさ、恋人はいないって言ってたけど、あれは本当?」

「へ?」

阿部さんのいきなりな質問に、ラーメンをすする恰好で私は固まってしまった。

「いきなりで悪いんだけど…」

「い、いません!」

私は持ち上げたラーメンを器に戻し、つっかえながらもキッパリと答えた。

「そう? 俺もなんだけどさ…」

「へ?」