ツンデレ美女の恋愛事情~新・素敵すぎる上司~

そう言えば、昨日までは営業先でお酒の話になる事はなかったし、会社でも阿部さんからお酒のお誘いは一度もなかったしなあ。杉下さんはしょっちゅう行きたがってるけど。


「…というわけなの」

「ちょっと待ってよ。阿部さんがお酒飲めないって?」

私が昼間の話をしたら、由佳里が食いついたのはそこだった。

「らしいよ」

「そんな話は聞いてないよ」

「だって、そう言ってたもん」

「あ、やっぱりそんなことないよ。だって、前にこの店で会ったじゃん。杉下さんと来てたでしょ?」

あ、そう言えばそうだった。

「でもさ、飲めなくてもウーロン茶とかで付き合う人っているでしょ? このお店は料理が美味しいしさ」

「うーん、確かにその可能性はあるわね」

「とにかく、阿部さんは鈴木さんのお酒の相手はしないわけだから、私が頑張らなくちゃだわ」

「張り切るのはいいけど、気をつけてよ? 何か心配だなあ」

「大丈夫だって」

と言ったものの、不安な気持ちが私にもなくはなかった。