ツンデレ美女の恋愛事情~新・素敵すぎる上司~

お膳の上にお刺身や唐揚げ、煮物なんかを並べ終えて、私は慎司さんの隣に腰を下ろした。

「ご苦労さま。美味しそうだなあ」

「このキンピラは私が作ったのよ?」

お母さんから教わりながらだけど。

「へえー、じゃあ、フライングだけど…」

慎司さんはお箸で私が作ったキンピラをちょっと摘み、パクッと口に入れてモグモグした。

「どう?」

「うん、美味しいよ。今まで食べたキンピラの中で、一番美味しい」

「ホントに? 嬉しい!」

「望愛、良かったわね? さあ、どうぞ」

向かいに座ったお母さんが、慎司さんにビールを注ごうとした。
すると慎司さんは「すみません」とか言いながらグラスを持ち上げるので、

「慎司さん、飲んじゃダメでしょ? 飲酒運転になっちゃうよ」

と言った。慎司さんたら、うっかりしたのかしら…

「あら、それはいけないわね。ウーロン茶にしましょうか?」

「いや、えっと…」

慎司さんが何やら口ごもっていると、

「望愛、いいんだ。慎司君には泊まっていただくように頼んだから」

と、お父さんが言った。

『どういう事?』という顔で慎司さんを見たら、慎司さんは口パクで『ごめん』と言っていた。何が『ごめん』なのかは分からなかったけど。