朝食をいただいた後、ゆっくり支度して私達は帰る事にした。

お父様は既に病院へ行かれたらしい。祭日でも休めないなんて、お医者さんって大変なんだなあ。


「もう一泊ぐらいして行けば、って言いたいところだけど、早く望愛さんのご両親にご挨拶しなくちゃね?」

「ああ」

「失礼のないように、しっかりね?」

「うん」

「日取りが決まったら直ぐに教えてよ?」

「ああ、分かってる」

「望愛さん、慎司と仲良くね?」

「はい」

「じゃあ行くから」

「気をつけてね」


私達はお母様に見送られ、阿部家を後にした。

「いいご家族ね?」

「そうか?」

「いい人達よ。そんな人達を騙すなんて…」

「ちょっと寄り道するよ」

「え?」