ツンデレ美女の恋愛事情~新・素敵すぎる上司~

私はいつものように、目で由佳里に「嫌だからね?」と言った。

いつものように、由佳里も「オッケー」と、やはり目で返してくるものと思ったら、今夜の由佳里の反応は少し違っていた。

え? なに?

どうやら由佳里は、もう一人の男を見ろ、と目で言ってるみたいなので、チラリとその男を見てみた。

黒か、それに近い濃紺のスーツを着たその男は、まるで連れの杉下さんなんか知らないとでも言いたげに、そっぽを向いていた。

顔はほとんど見えず、細身で杉下さんより少し背が高い事と、顎の線がシャープな事くらいしか分からなかった。

私は由佳里に視線を戻した。

『何よ?』
『彼を見た?』
『見たけど?』
『どうよ?』
『何が?』
『彼はどうよ?』
『はあ?』

というような会話を、由佳里と目だけで高速に行った。