私は慎司さんと並んでソファに腰掛けた。普通よりもちょっと接近して。

「お袋の印象はどう?」

「うん、慎司さんが言ってた通り、明るくて気さくな人って感じ」

「話しやすいだろ? お袋には気を使わなくていいからさ」

「うん」

『お袋には』と言う事は、お父様やお姉様には気を使うって事かしら…

そう言えば、お姉様は?


お母様がお茶のお盆を持って応接間に戻って来た。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

「お昼ご飯は済んでるのよね?」

「あ、ああ。ところで、姉貴は?」

「明子は部屋で横になってるわ」

「え、具合が悪いのか?」

「まあ、ちょっとね」

「俺、ちょっと見て来る」

そう言うと同時に慎司さんはスクッと立ち上がった。