木々の隙間から見える真っ青な空。
雲一つ無い快晴。
ちょうど正午ぐらいであろう。太陽は一番高い所まで昇りつめている。
川のせせらぎ。
木が風に揺れ、葉を擦りあわせる音。
ザーッ ザーッ
目を閉じるとまるで海にいるような…風に揺られる葉の音が、波の音に聞こえた。
ここだけは平和である。

ここだけが自分の一番安らげる場所であった。
そんなに遠くない森の外では、人と人とが争い血を流している。
何故、戦うのか?
まだ当時七歳の俺にはわからなかった。
突然の悲鳴に反応して人々は逃げまどい、武器を持つ者はその場所へ向かい、金属音をあたりに響かせる。
いつ自分が死ぬかわからなくて、誰も頼れる人もいなくて、七歳の知恵で必死に生きる事を決断した当時の俺。