黒猫は歌った

どうして色なんてあるんだ
色がなかったら
自分だって愛されるのに


白猫は笑った

色がなくても世界はシロクロ
どうせ君は黒で、僕は白
なにがあっても愛されない


黒猫は泣いた

じゃあどうすれば
自分は愛されるんだ


白猫は答えた

愛されることを願う時点で
君は誰からも愛されない


黒猫は考えた

ならば自分の色を変えればいい


白猫は呆れた

まだ願うか、汚い黒猫


黒猫は怒った

いまに見ていろ、汚い白猫


白猫は嘆いた

ならばどうやって
色を変えると言うのだ


黒猫は思った

自分を斬れば赤になる


白猫は言った

赤なんて黒になど勝てない


黒猫は頷いた

でもどうせ自分では
自分の色を見れないから
色の勝敗は関係ない


白猫は知った

お前は死にたいのか


黒猫は話した

死にたい訳ではない
ただ色を変えるために
人生を終えるだけだ


白猫は聞いた

ならば刺してあげようか


黒猫は悟った

頼んだ、綺麗な白猫
どうやら赤にはなれるが
白にはなれないらしい


白猫は憂いた

もう黙れ
死んだら白い翼でも
ついてくるさ


黒猫は信じた

ならば次はそれを願おう


白猫は殺した

お前はもう黒じゃない
綺麗な赤だよ


黒猫は眠った

またいつか会おう


白猫は染まった
黒猫の綺麗な赤に
白は赤に
黒と一緒の色に



白猫は生涯
体を洗うことはなかった