マモルはそんなユキを見て困ったように微笑むと話題を変えた。

「『吊り橋効果』って知ってる?」

「・・・知ってる」

揺れる吊り橋の緊張感の元で出会った相手を好きだと勘違いしてしまう心の動き、だった気がする。

「ユキちゃんにとって、今日のオレとの出会いは正にそうだろ?」

「あ。」

突然の停電に驚いて、その後の雷鳴に驚いて、無駄な想像で怖がってドキドキする中、声をかけられた。

それから知らない大学にまるで不法侵入して。

ドキドキしっぱなしだ。

今もドキドキしてるけど・・・。
このドキドキは恋じゃないかもしれないの?

思わず心臓に手を当てる。