アヲイモリ






私がアヲイカフェのことを聞いたのは、一ヶ月前のこと。



「素子知ってる?あの森にカフェあるんだって」

たまたま森の近くを通りかかった時、親友の春美が突然言い出した。



「森にカフェ?」

何だかメルヘンチックだな~。
最初はそんな風にしか思っていなかった。





「そのカフェにはね、1人の男の人がいて、カフェに来たお客さんの願いを何でも叶えてくれるみたいなの」

「何でも────…?」



そんな夢みたいな話、本当だったら大変だよね。

人がたくさん来るだろうに…



「森のどこにあるの?そのカフェ」

「それがね~」

春美は突然声を低く、小さくした。


そんなに重要な内容なのかな────私はゴクリと唾を飲み込んだ。






「分からないの」

春美はニヤリと笑った。


「わ…分からない!?」