アヲイモリ




それから一週間、ずっとお母さんに話かけていたけど────…お母さんの意識が戻る兆しがまったく見えない。




「…なるほど。だから、ここを探しに来たんだね?」

「うん」


私はこぶしを強く握った。




「お母さんは…何の事故だったの?」


「自転車乗ってたら、車が角から曲がってきたらしくて…」


「そっか…あれ。お父さんとかはいないの?」



お父さん、か。

何年ぶりに聞いた言葉だろう──────。





「お父さんは…私が小さい頃、病気で死んじゃったんだって」



だから、私の家族はお母さんだけ。



お母さんがいなくなってしまったら────…私は一人ぼっち。