部活が終わって

どうしようもなく先生に

会いたくて

話がしたくて


数学準備室のドアをノックした。



そこに入ると先生しかいなくて

「今いいですか?」

そう声をかけた。



先生は教科書から目を離さず
何かを書き込みながら

「どうしたんだ?」

とそっけなくて

「会いたくなって来ちゃった」

わざと甘えて隣の椅子に座った。



「今日、数学の時会っただろ?」


先生は相変わらず教科書と睨めっこ。


「そんなの会ったうちに入らない
私もみんなの様に話がしたいの」


「今、仕事中だ」

いつもよりも少し低い声で答える先生に

「じゃあ、それ終わるのを待っている」

無邪気に言い返した。

「ダメ。遅くなりそうだから
今日は送ってやれない。」

「いや」





先生は仕方なく仕事の手を止めて

「じゃあ、コーヒーを飲んだら帰りなさい」

呆れたように言った。


私はコーヒーを入れてくれる先生に

「砂糖とミルクは多めに宜しく」

と上機嫌で答えた。