颯爽と軽やかな足取りで校門をくぐる。


校舎に入ろうとした所でバタバタと走って来る何かに気づいて振り返った。


「うっウリエル様!?」


息を切らせた虎太郎がガシッと“俺”の両肩を掴んだ。

驚いて見開かれた金色の瞳を見て虎太郎は涙ぐんだ。


「今日は“黒崎右京”だ。

いいな、“虎太郎”。」


そう言うと颯爽と廊下を歩き出した。


「ウリエ…右京!」


虎太郎が慌てて肩に手を回す。


「なんだ、暑苦しい。」
「…教室が反対です。」

「ぬ!?…そうか」


俺はその様子を見てちょっと心配になった。

虎太郎を呼んで正解だったな…

肩を組んだ状態で虎太郎は“俺”を教室まで連れてった。


席に座り真面目に補習授業を受ける“俺”。

いつもなら寝てるのに、なんとも奇妙な光景だ。

それに気付いた担任が、別人みたいだと言った。

「黒崎…ちょっと見直したぞ!」


「フン!俺様を誰だと思っている。」


その言葉に蒼白になる虎太郎の顔…


「…なんだと?」

「だぁ~~~!ゴメン、先生!

さっき右京と喧嘩してコイツ機嫌悪いんだよ~」

そうフォローした虎太郎は“俺”に右京らしく!と耳打ちした。

それから何度かヤバい状況になったが、虎太郎のファインプレーで切り抜けた。


翌日もウリエルは快く引き受けてくれた。
もちろん虎太郎のフォロー付きだが…

「こんなに授業が大変だと思ったのは初めてだ!」

と嬉しそうに言っていた。