ところが肝心の陸は驚くほど集中力がなく、10分ごとに休憩をとろうとして虎太郎がキレた。

その後ろでは寛二は勉強どころかクミと長電話をしていてたりで何しに来たんだという有様だった。



結局ちゃんと勉強を始めた頃にはすでに2時間が経過し、さすがの俺も焦りだした。


「お前らマジでちゃんとやれよ?俺だって勉強してーんだから...」

「ウリ坊が勉強する姿って想像できない...」

「俺ら、授業中寝てるとこしか見てないもんな~」

「でも留学するくらいの学力はあるんだろ?不思議だ!」

「見えないとこでちゃんとやってんだよ、俺は...」


そういうと皆が「何のベンキョーしてんだか...」と口を揃えた。


「あのな~、人を色魔みたいな言い方しないでくれる?」

「違うのかよ...忍ちゃんの前ではデレデレなくせに!」

「好きなヤツに好きって言って何が悪い!」

「実際どうなわけ?毎日迫ってるの?」

「んなわけねーだろ!だったら今頃師範に殺されてる。」

「ウリ坊も大変なんだな~...」


ちょっと同情するような目で見られて自分の家なのに居心地が悪いのは何故だろうか...


「つか、そんな事はどうでもいいからさっさと公式覚えろよ?」


陸は首をすくめて「へいへい」とかったるそうに返事をして参考書に視線を戻した。


それからは意外と真面目に勉強し出して、10時半を過ぎるとみんなを帰宅させた。