岡本が歩き出したのを見て俺も忍の手を引いて歩き出した。


「ちょっと右京!そんなに興味あったわけ!?」


こっそり聞いて来る忍にクスリと笑った。


「まぁ興味あるのはあの男だけど…

…アイツ前からあんな感じなのか?」

「さぁ…私が知ったのは美鈴が同好会に入った時だから、半年くらい前だけど、その時もあんなだったよ?」

「ふーん…あの男…おかしいな…」

「おかしいのは雰囲気でわかるけど…」

「オーラって言うか…黒い影が見える…」

「えぇ!?…やめてよ…苦手なんだから、そういうの…」

「大丈夫だよ。俺を誰だと思ってんの?」


忍の腰を抱いてニッコリ笑うと岡本を見失わないように気をつけながら先を急いだ。


岡本はあの黒いオーラがなかったら美青年と言えるかもしれないが、今はとてもそうは見えない。

あの感じ…昔どこかで…


それはあまりにも遠い記憶過ぎてすぐには思い出せなかった。

ウリエルの記憶を辿りながら考えた。


…そう…昔あんなヤツが居たんだ…

力無く笑う顔とか…常に青白い血色の悪い肌…見覚えがある。


「…!!…わかった…」

「なに!?」

「あの男…何かが“憑依”してんだ…」


間違いない。何が憑いてるんだ?

しかも半年以上あの雰囲気って事はずっと憑依されたままなのか?

果たしてそんな事可能なのだろうか…