風に乗って灰になったロレイは、俺が突き立てた焔の剣の周りに渦を作るように纏わり付いた。


両手を翳すと地面に現れた魔法陣に剣と一緒に消えて行った。


そうして訪れた静寂の中、俺は人間の姿に戻るとその場に座り込んだ。


「大丈夫か?」


近づきながら人間に戻った虎太郎が俺を覗き込んだ。

「あぁ...ちょっと疲れただけだ。

久しぶりに力を消耗した...」

「まだ本来の力をうまく制御出来てないんだろう。そのうち慣れる。」



昔は黄泉の門の前で焔の剣を使って何体もの悪魔をタルタロスに送った...

いつからか悪魔の様な姿の俺は“懺悔の天使”なんて呼ばれた。

その呼び名が嫌で普段は堕天使の姿をするようになった。


「俺は一体なんなのだろうな...」


堕天使...悪魔...人間...

どれが正解なのだろうか。

「ウリエル様はウリエル様ですよ。

なんなのかなんて問題じゃありません。」


そう言って虎太郎は笑ってくれた。


「サルガタナスを逃がしてしまったな...

遅かれ早かれ、きっと追っ手が来る。」

「だな...これからどうする?」

「...ルシファーを神として新世界を作るなんて...
阻止するしかねぇだろ。

...行こう。

...やつらの所へ...」


俺の言葉に虎太郎は真剣な眼差しで頷いた。


「どこまでもお供します。」

「...ただ、卒業までは人間らしく生活したい。
...右京として...」


人間として一生を終えるなんて、やはり俺には無理な話だ。


一番辛いのは...

愛する人との別れ...