近づくたびに大きくなる話し声。 あたしは思わず足を止めた。 「沖本さんってさ、選ばれたからって調子乗ってない?」 その声は学校もバイト先も同じ先輩だった。 「…乗ってないし。」 聞こえないように小さくつぶやいた。 「店長もなんか気に入っちゃってさ。 客増えたらしいじゃん?」 一つのことが起こると、何故かすべてがあたしのせいになる。 「はあ…。」 あたしはため息をつきながらUターンした。